2008年 12月 21日
イングランド盟主の矜持と、GAMBAのStyleと。 |
2008.12.18
FIFA Club World Cup 2008 semi final
Gamba Osaka vs Manchester Utd.
世界一を争うFIFA主催の公式戦、その準決勝。
我がGAMBAが、ほんまにあのマンU相手に戦うのか。
勝利の確率は、限りなくゼロに近い。
しかしあの冷静沈着な遠藤が、勝つつもりで戦う、
と平然と言ってのけたのだ。
期待を抱かずにはいられない。
…とんでもなく淡く微かで密かな期待だけど。
そこでこの私も、ミッション・インポッシブルな
ジャイアント・キリングの可能性に想いを巡らしてみる。
GAMBAがスカウティングされたのは
おそらく先日のアデレード戦1試合のみ。
対してマンUの情報は試合映像から何から有り余る程豊富だ。
西野監督と司令塔・遠藤の緻密な分析に掛かり
既に相手は丸裸状態だと言っていいだろう。
フィジカル面では当然時差ぼけが残っている筈。
パク・チソンを筆頭に疲れを知らないアスリート軍団といえども
さすがに後半は疲労を滲ませる事だろう。
更に日本の横浜での試合だから、こちらは準ホーム。
サポーターの数でも圧倒的に優位だ。
…まぁスター軍団ユナイテッド観たさのファンが大多数だろうし
ビビる程のブーイングを浴びせるなんてことは無理だろうけれど…。
せやけど一発勝負のトーナメント、
何が起こるかわからへんやないか!
つらつら熟考した末に私が出した、
期待込みの予想スコアは2-4だった。
(↑負けとるやん)
もしも、
首尾よくGAMBAの攻撃的なパスサッカーを世界に披露出来て
最強欧州王者相手に2点も取れれば、こら凄いことだ。
だが無茶苦茶スピーディかつ強烈なプレスで囲まれて
なす術も無くボールを奪われては失点の連続
…なんて最悪の事態も十分考えられる。
しかし、
仮にゴール前を堅めて極めて少ない好機を活かし
運も味方して、万が一欧州チャンプを破ったとしても
おそらくアクシデント扱いされるのがオチ。
世界的に評価される事は無いだろう。
GAMBAのstyleを出さねば何も得る物が無い。
ここは得意の攻撃サッカーでぶつかって、
世界最強水準との偏差値を測ることが第一義と思われる。
観るのが楽しみなような怖いような、
そんな夢みたいなゲームは、午後7時キック・オフ。
ふたを開けてみれば
遠藤のスタート・ポジションを中盤の底に下げ、
ルーカスをポストに使わず左サイドに配置。
ボールの落ち着けどころを2カ所にした。
2トップには播戸と山崎。
ファギー、いやサー・アレックスの遠藤封じの策を無効に。
あれ?パク・チソンが出てないぞ!
マンU側の猛プレスは見られず肩すかし。
パスが繋げる。
なんや、終始ガンバのサッカーが出来たやないか!
但し全力モードに入れた相手に3失点した5分間を除いて、だが…。
後半、打ち合いの幕を切った山崎のファイン・ゴール。
GAMBA1-2MAN utd.。
欧州チャンプを追撃し、慌てさせ、あわよくば苦渋を味わわせる…
にわかに膨らみかけた期待は、
しかし一瞬にしてウェイン・ルーニーという
ヘビー級のハード・パンチャーによって打ち砕かれた。
“どうだ!”と言わんばかりの
王者の誇りと闘志に満ちたルーニーの表情。
Man Utd.のスピリットを体現するのはもはや、
ギグスでもスコールズでも、ましてやロナウドでも無い、
やはりルーニーなんだ、と思わせる。
更に言えば今の彼はイングランド・フットボールを
象徴する存在でもあるのだろう。
ここで正直に言うと、実は私はユナイテッドが好きなんである。
前回のパルメイラスとの一戦は国立で観ている。
(ちなみに今回は残念、TV観戦)
今から13年前の1995.10.1のことだ。
私はマンチェスター、オールド・トラフォードの客席にいた。
Manchester Utd. vs Liverpool。
日曜の午後。青空、緑のピッチ、そして赤く染まったスタンド。
エリック・カントナと仲間達によるパス“交歓”。
芝を縫う様に心地よくボールが転がり、繋がってゆく。
ゴール裏からは野太い声でお馴染みのチャントの大合唱だ。
痩身のウィンガーが私のほんの目の前を
肩で風を切る様にドリブルしてゆく。
“Gigsy,Come Ooooon!!”その背中に少年が叫ぶ。
豪快にPKを決めた英雄カントナ。
“Yeeeees!!!”スタンドのオヤジ達が狂喜する…。
その数日前にもスタジアムを訪れ
偶々居合わせた職員の厚意で内部に入れてもらい
ピッチで練習する選手達をちらりと、遠目にだが観る事も出来た。
大感激した私がマンUというクラブに惹かれていったのは
当然の成り行きと言えよう。
世界中の投資家マネーにより隆盛する現在のプレミア・リーグ。
今でこそスタジアムは安全・快適なエンタテイメント空間として
女性客や観光客で華やいでいるけれど
ひと昔前のイングランドのサッカーは、はっきり言って冴えなかった。
悪名高いフーリガンの存在もあった。
私が観戦したのは新たにプレミア・リーグが発足し
改革が始まって数年経った時期だったが、
スタジアムを埋めていたのは、
およそむさ苦しい男どもばかりだったと記憶している。
誤解を恐れずに言えば、本来イングランドのフットボールとは、
ラッズ(悪ガキ)の、野郎の、男の世界なのだ。
直線的でスピーディなボールがピッチの上を飛び交う。
荒く激しく、体がぶつかりあう、
そう、“けんか祭り”みたいなイメージ。
少々のファールで痛がっていては、軟弱者の誹りを受ける。
小細工無し。正々堂々、真っ向勝負。
タフで、クリーンで、武骨なファイト。
そして手に汗握ったゲームの後に感じるのは、とびっきりの爽快感。
あの日オールド・トラフォードで観た時もそうだった。
『好試合というのは両方のチームの“共犯関係”から生まれる。勝利を追求するという点で相手はたたきつぶす対象だが、中身を追求しようとすれば相手の協力なしには不可能である。試合を壊さないイングランドはその意味で常によい共演者となる可能性を秘めているのである。〈中略〉
イングランドのタックルは、イタリアのDFが常に逆の目も頭の隅に置きながら相手を追い詰めていくのに対し、薩摩の示顕流ではないが一撃必殺のスライディングで相手を仕留める。それがすぱっと決まった時には独特の爽快感がある。その爽快感はタックルを仕掛けた選手や客席で見ている者だけでなく、おそらくタックルを決められた側にもあるはずである。イングランドにはその種の、戦う相手さえも気持良くさせる深さがあるように思われるのだ。』
武智幸徳 『サッカーという至福/名共演者、イングランド』より
GAMBAにとって幸福だったのは
欧州王者が、そんなイングランドのチームだったことだろう。
前半のうちに2点のリード。
これがイタリア勢だったなら、
きっとカテナチオでゴールに鍵をかけ、のらりくらりと
残りの45分を時間潰しに費やしたに違いない。
ルーニーの痛烈な一撃からの3連発。
赤い悪魔の猛攻を受け、
ほんの5分間で勝敗の帰趨は決した。
失点してムキになって追加点を奪いに出たマンUの姿は
欧州王者というよりイングランド王者のそれだった。
GAMBA1-5MAN utd.…
力の差を見せつけられて4点差。
だが、それでもGAMBAは、地を這うどころか
攻撃的にプレーする事を決して止めなかった。
更に追加点を奪われ恥を晒すリスクをも承知で
ある意味愚直なまでに、果敢に攻める自らの姿勢を貫いたのだ。
とりわけ遠藤の表情には鬼気迫るものがあった。
あのクールなヤットが。
恐ろしいまでに試合に集中しているのが読み取れる。
本気になったマンUtd.は、遠藤をも本気にさせた。
いや、彼らの高次元のプレーが
遠藤のポテンシャルを最大限に引き出したと言えはしないだろうか。
変幻自在なポジショニング、ゲームの流れを読むクールな眼、
ボール奪取、ボールキープ、リズムを作るパス、スルーパス、
サイドチェンジ、FK、そしてしばらく封印?していた強烈なミドル…!
極め付きは、相手を屈辱に塗れさせるコロコロPK!
シドニー、ドイツ、北京と世界のピッチに立てなかった悔しさを糧に
年を追うごとにプレーの幅を広げてきた遠藤。
彼の存在感はこのゲームに出場した選手の中でも際立っていたと思う。
ワールドクラスに肉薄し、同じ街の仇敵と渡り合うそのプレーに
近々金満マン・シティから破格のオファーが届いたとしても
私は全く驚かないだろう。
遠藤が振るタクトに導かれ、諦めずにゴールを目指すGAMBA。
再びゲームがヒートアップする。
GAMBA OSAKA Ole! いったれ、いったれ!
そうや、打たれたら打ち返せ。
双方のシュートが乱れ飛ぶ。
ロスタイム、橋本の痛快なゴールで興奮はMAXに。
最後の見せ場はロナウドのFK。
千両役者の蹴ったボールがゴールマウスをはずれて
とうとうゲーム終了のホィッスルが鳴った。
GAMBA3-5MAN utd.。
面白かった。気持のよいゲームだった。
なんと恐ろしい事に、(期待込みの)我が予想をも上回り、
1点づつ多かった。
私は久しぶりに爽快な気分になっていた。
あの時、オールド・トラフォードで感じた様に。
GAMBAは持てる力を全て出し切って、
試合後に遠藤が語ったとおり、楽しくプレーしたと思う。
いつもと同じく、GAMBAのstyleで。
自分たちのサッカーを曲げずに、
かつ僅かな可能性に賭けて
勝利のための戦略を追求した西野監督。
臆せず怯まず堂々とプレイし続けたGAMBAの選手達。
敗れたとはいえ、彼らの姿勢は終始ブレる事が無かった。
まずはそこを讃えたい。
力の差はさておき、見所満載、
お互いが良さを発揮した好ゲーム。
試合後のこの爽快感、スカッとした後味の良さは
GAMBAが追い上げた所為もあるが
流石に“名共演者”と呼んでは失礼だろう、
イングランド・フットボールの盟主を相手に闘った故だろうか。
Match Deta:
Gamba Osaka: Fujigaya, Kaji, Nakazawa, Yamaguchi, Endo, Michihiro Yasuda, Myojin, Hashimoto, Bando (Terada 85), Lucas, Yamazaki.
Subs Not Used: Matsuyo, Shimohira, Futagawa, Kurata, Takei, Roneliton.
Booked: Yamaguchi.
Goals: Yamazaki 74, Endo 85 pen, Hashimoto 90.
Man Utd: Van der Sar, Neville, Ferdinand, Vidic (Evans 69), Evra, Nani, Anderson, Scholes (Fletcher 67), Ronaldo, Giggs, Tevez (Rooney 73).
Subs Not Used: Kuszczak, Rafael Da Silva, O'Shea, Carrick, Gibson, Park, Welbeck, Amos.
Booked: Rooney.
Goals: Vidic 28, Ronaldo 45, Rooney 75, Fletcher 78, Rooney 79.
Att: 67,618
Ref: Benito Archundia Tellez (Mexico).
FIFA Club World Cup 2008 semi final
Gamba Osaka vs Manchester Utd.
世界一を争うFIFA主催の公式戦、その準決勝。
我がGAMBAが、ほんまにあのマンU相手に戦うのか。
勝利の確率は、限りなくゼロに近い。
しかしあの冷静沈着な遠藤が、勝つつもりで戦う、
と平然と言ってのけたのだ。
期待を抱かずにはいられない。
…とんでもなく淡く微かで密かな期待だけど。
そこでこの私も、ミッション・インポッシブルな
ジャイアント・キリングの可能性に想いを巡らしてみる。
GAMBAがスカウティングされたのは
おそらく先日のアデレード戦1試合のみ。
対してマンUの情報は試合映像から何から有り余る程豊富だ。
西野監督と司令塔・遠藤の緻密な分析に掛かり
既に相手は丸裸状態だと言っていいだろう。
フィジカル面では当然時差ぼけが残っている筈。
パク・チソンを筆頭に疲れを知らないアスリート軍団といえども
さすがに後半は疲労を滲ませる事だろう。
更に日本の横浜での試合だから、こちらは準ホーム。
サポーターの数でも圧倒的に優位だ。
…まぁスター軍団ユナイテッド観たさのファンが大多数だろうし
ビビる程のブーイングを浴びせるなんてことは無理だろうけれど…。
せやけど一発勝負のトーナメント、
何が起こるかわからへんやないか!
つらつら熟考した末に私が出した、
期待込みの予想スコアは2-4だった。
(↑負けとるやん)
もしも、
首尾よくGAMBAの攻撃的なパスサッカーを世界に披露出来て
最強欧州王者相手に2点も取れれば、こら凄いことだ。
だが無茶苦茶スピーディかつ強烈なプレスで囲まれて
なす術も無くボールを奪われては失点の連続
…なんて最悪の事態も十分考えられる。
しかし、
仮にゴール前を堅めて極めて少ない好機を活かし
運も味方して、万が一欧州チャンプを破ったとしても
おそらくアクシデント扱いされるのがオチ。
世界的に評価される事は無いだろう。
GAMBAのstyleを出さねば何も得る物が無い。
ここは得意の攻撃サッカーでぶつかって、
世界最強水準との偏差値を測ることが第一義と思われる。
観るのが楽しみなような怖いような、
そんな夢みたいなゲームは、午後7時キック・オフ。
ふたを開けてみれば
遠藤のスタート・ポジションを中盤の底に下げ、
ルーカスをポストに使わず左サイドに配置。
ボールの落ち着けどころを2カ所にした。
2トップには播戸と山崎。
ファギー、いやサー・アレックスの遠藤封じの策を無効に。
あれ?パク・チソンが出てないぞ!
マンU側の猛プレスは見られず肩すかし。
パスが繋げる。
なんや、終始ガンバのサッカーが出来たやないか!
但し全力モードに入れた相手に3失点した5分間を除いて、だが…。
後半、打ち合いの幕を切った山崎のファイン・ゴール。
GAMBA1-2MAN utd.。
欧州チャンプを追撃し、慌てさせ、あわよくば苦渋を味わわせる…
にわかに膨らみかけた期待は、
しかし一瞬にしてウェイン・ルーニーという
ヘビー級のハード・パンチャーによって打ち砕かれた。
“どうだ!”と言わんばかりの
王者の誇りと闘志に満ちたルーニーの表情。
Man Utd.のスピリットを体現するのはもはや、
ギグスでもスコールズでも、ましてやロナウドでも無い、
やはりルーニーなんだ、と思わせる。
更に言えば今の彼はイングランド・フットボールを
象徴する存在でもあるのだろう。
ここで正直に言うと、実は私はユナイテッドが好きなんである。
前回のパルメイラスとの一戦は国立で観ている。
(ちなみに今回は残念、TV観戦)
今から13年前の1995.10.1のことだ。
私はマンチェスター、オールド・トラフォードの客席にいた。
Manchester Utd. vs Liverpool。
日曜の午後。青空、緑のピッチ、そして赤く染まったスタンド。
エリック・カントナと仲間達によるパス“交歓”。
芝を縫う様に心地よくボールが転がり、繋がってゆく。
ゴール裏からは野太い声でお馴染みのチャントの大合唱だ。
痩身のウィンガーが私のほんの目の前を
肩で風を切る様にドリブルしてゆく。
“Gigsy,Come Ooooon!!”その背中に少年が叫ぶ。
豪快にPKを決めた英雄カントナ。
“Yeeeees!!!”スタンドのオヤジ達が狂喜する…。
その数日前にもスタジアムを訪れ
偶々居合わせた職員の厚意で内部に入れてもらい
ピッチで練習する選手達をちらりと、遠目にだが観る事も出来た。
大感激した私がマンUというクラブに惹かれていったのは
当然の成り行きと言えよう。
世界中の投資家マネーにより隆盛する現在のプレミア・リーグ。
今でこそスタジアムは安全・快適なエンタテイメント空間として
女性客や観光客で華やいでいるけれど
ひと昔前のイングランドのサッカーは、はっきり言って冴えなかった。
悪名高いフーリガンの存在もあった。
私が観戦したのは新たにプレミア・リーグが発足し
改革が始まって数年経った時期だったが、
スタジアムを埋めていたのは、
およそむさ苦しい男どもばかりだったと記憶している。
誤解を恐れずに言えば、本来イングランドのフットボールとは、
ラッズ(悪ガキ)の、野郎の、男の世界なのだ。
直線的でスピーディなボールがピッチの上を飛び交う。
荒く激しく、体がぶつかりあう、
そう、“けんか祭り”みたいなイメージ。
少々のファールで痛がっていては、軟弱者の誹りを受ける。
小細工無し。正々堂々、真っ向勝負。
タフで、クリーンで、武骨なファイト。
そして手に汗握ったゲームの後に感じるのは、とびっきりの爽快感。
あの日オールド・トラフォードで観た時もそうだった。
『好試合というのは両方のチームの“共犯関係”から生まれる。勝利を追求するという点で相手はたたきつぶす対象だが、中身を追求しようとすれば相手の協力なしには不可能である。試合を壊さないイングランドはその意味で常によい共演者となる可能性を秘めているのである。〈中略〉
イングランドのタックルは、イタリアのDFが常に逆の目も頭の隅に置きながら相手を追い詰めていくのに対し、薩摩の示顕流ではないが一撃必殺のスライディングで相手を仕留める。それがすぱっと決まった時には独特の爽快感がある。その爽快感はタックルを仕掛けた選手や客席で見ている者だけでなく、おそらくタックルを決められた側にもあるはずである。イングランドにはその種の、戦う相手さえも気持良くさせる深さがあるように思われるのだ。』
武智幸徳 『サッカーという至福/名共演者、イングランド』より
GAMBAにとって幸福だったのは
欧州王者が、そんなイングランドのチームだったことだろう。
前半のうちに2点のリード。
これがイタリア勢だったなら、
きっとカテナチオでゴールに鍵をかけ、のらりくらりと
残りの45分を時間潰しに費やしたに違いない。
ルーニーの痛烈な一撃からの3連発。
赤い悪魔の猛攻を受け、
ほんの5分間で勝敗の帰趨は決した。
失点してムキになって追加点を奪いに出たマンUの姿は
欧州王者というよりイングランド王者のそれだった。
GAMBA1-5MAN utd.…
力の差を見せつけられて4点差。
だが、それでもGAMBAは、地を這うどころか
攻撃的にプレーする事を決して止めなかった。
更に追加点を奪われ恥を晒すリスクをも承知で
ある意味愚直なまでに、果敢に攻める自らの姿勢を貫いたのだ。
とりわけ遠藤の表情には鬼気迫るものがあった。
あのクールなヤットが。
恐ろしいまでに試合に集中しているのが読み取れる。
本気になったマンUtd.は、遠藤をも本気にさせた。
いや、彼らの高次元のプレーが
遠藤のポテンシャルを最大限に引き出したと言えはしないだろうか。
変幻自在なポジショニング、ゲームの流れを読むクールな眼、
ボール奪取、ボールキープ、リズムを作るパス、スルーパス、
サイドチェンジ、FK、そしてしばらく封印?していた強烈なミドル…!
極め付きは、相手を屈辱に塗れさせるコロコロPK!
シドニー、ドイツ、北京と世界のピッチに立てなかった悔しさを糧に
年を追うごとにプレーの幅を広げてきた遠藤。
彼の存在感はこのゲームに出場した選手の中でも際立っていたと思う。
ワールドクラスに肉薄し、同じ街の仇敵と渡り合うそのプレーに
近々金満マン・シティから破格のオファーが届いたとしても
私は全く驚かないだろう。
遠藤が振るタクトに導かれ、諦めずにゴールを目指すGAMBA。
再びゲームがヒートアップする。
GAMBA OSAKA Ole! いったれ、いったれ!
そうや、打たれたら打ち返せ。
双方のシュートが乱れ飛ぶ。
ロスタイム、橋本の痛快なゴールで興奮はMAXに。
最後の見せ場はロナウドのFK。
千両役者の蹴ったボールがゴールマウスをはずれて
とうとうゲーム終了のホィッスルが鳴った。
GAMBA3-5MAN utd.。
面白かった。気持のよいゲームだった。
なんと恐ろしい事に、(期待込みの)我が予想をも上回り、
1点づつ多かった。
私は久しぶりに爽快な気分になっていた。
あの時、オールド・トラフォードで感じた様に。
GAMBAは持てる力を全て出し切って、
試合後に遠藤が語ったとおり、楽しくプレーしたと思う。
いつもと同じく、GAMBAのstyleで。
自分たちのサッカーを曲げずに、
かつ僅かな可能性に賭けて
勝利のための戦略を追求した西野監督。
臆せず怯まず堂々とプレイし続けたGAMBAの選手達。
敗れたとはいえ、彼らの姿勢は終始ブレる事が無かった。
まずはそこを讃えたい。
力の差はさておき、見所満載、
お互いが良さを発揮した好ゲーム。
試合後のこの爽快感、スカッとした後味の良さは
GAMBAが追い上げた所為もあるが
流石に“名共演者”と呼んでは失礼だろう、
イングランド・フットボールの盟主を相手に闘った故だろうか。
Match Deta:
Gamba Osaka: Fujigaya, Kaji, Nakazawa, Yamaguchi, Endo, Michihiro Yasuda, Myojin, Hashimoto, Bando (Terada 85), Lucas, Yamazaki.
Subs Not Used: Matsuyo, Shimohira, Futagawa, Kurata, Takei, Roneliton.
Booked: Yamaguchi.
Goals: Yamazaki 74, Endo 85 pen, Hashimoto 90.
Man Utd: Van der Sar, Neville, Ferdinand, Vidic (Evans 69), Evra, Nani, Anderson, Scholes (Fletcher 67), Ronaldo, Giggs, Tevez (Rooney 73).
Subs Not Used: Kuszczak, Rafael Da Silva, O'Shea, Carrick, Gibson, Park, Welbeck, Amos.
Booked: Rooney.
Goals: Vidic 28, Ronaldo 45, Rooney 75, Fletcher 78, Rooney 79.
Att: 67,618
Ref: Benito Archundia Tellez (Mexico).
by footle
| 2008-12-21 18:18
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